












最近おならの臭いが気になり、「悪玉菌が増えているのでは」と不安になる——そんな声をよく耳にします。でも、おならが臭いというだけで、腸内環境の良し悪しや特定の菌の増減を断定することはできません。ただし、おならの臭いには、腸内細菌が作る硫黄化合物や食事内容が関係します。一方、回数や量、お腹の張りには、飲み込んだ空気や便通の状態などが関わります。
本記事では、「臭い」「回数・量」「お腹の張り」を分けて整理しながら、おならが臭くなる主な原因、日常でできる対策、病院を受診すべき目安まで、わかりやすく解説します。
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01おならの臭いは何で決まる?腸内環境との関係


臭いの主な成分は微量の硫黄化合物
米国国立糖尿病・消化器・腎臓病研究所(NIDDK)の解説によると、腸内のガスは食事や会話の際に飲み込んだ空気と、大腸の細菌が未消化の炭水化物を分解する過程で発生するガスに由来し、その多くを占める成分自体には強い臭いがないとされています。一方、ガス全体に占める割合はわずかでも、硫黄を含む成分が特有の臭いの原因になることがあります。
医学論文の『Gut』誌では、おならに含まれる硫黄化合物のうち硫化水素が最も多く、悪臭の強さは硫化水素の濃度と関連があると報告されています。ただし小規模な検討であり、「硫化水素が多い人は必ず腸内環境が悪化している」と一般化することはできません。
腸内には多様な細菌が生息し、その一部が硫黄代謝に関わる機能を持つことで、ヒトの健康や体調に影響を及ぼし得ることが国内の学術誌でも報告されています。含硫アミノ酸(システインやメチオニンなど)を含む食品を摂取すると、腸内細菌の代謝過程で硫化水素などのガスを生じることがあり、これが食事と臭いの関連の一因と考えられています。
「臭い」「回数・量」「お腹の張り」は別々に考える
おならに関する不調は「臭い」「回数・量」「お腹の張り」がひとまとめに語られがちですが、発生の仕組みが異なるため分けて考えることが原因の見極めに役立ちます。
症状 | 主に関わる要因 |
|---|---|
臭い | 食事内容(含硫アミノ酸を含む食品など)、腸内細菌による代謝(硫黄化合物の生成)、便通の状態 |
回数・量 | 飲食時に飲み込む空気の量、発酵しやすい糖質(食物繊維・オリゴ糖など)の摂取量 |
お腹の張り | ガスの腸内での移動・滞留、内臓の知覚過敏、便秘、過敏性腸症候群(IBS)などの機能性消化管疾患 |
健康な人でも1日平均8〜14回程度おならをし、1日25回程度までを正常な範囲とするという報告もあります。この回数はあくまで目安であり、普段の自分と比べてどう変化したかを見ることが大切です。

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02おならの臭いやガス症状に関わる主な4つの原因


おならが臭くなる理由を「悪玉菌が増えたから」の一言で片づけると、実際に影響している要因を見落としてしまいます。
ここでは、臭いやガス症状に関わる要因を4つの観点に分けて整理します。
肉・卵・乳製品など、食事内容が臭いに影響する
たんぱく質を多く含む食品にはシステインやメチオニンといった含硫アミノ酸が含まれ、腸内細菌に代謝される過程で硫化水素などの臭いの強いガスが発生しやすくなることが国内の学術誌でも解説されています。肉類、卵、乳製品のほか玉ねぎ・にんにく・アブラナ科の野菜も臭いに影響することがあります。
ただし「動物性食品自体が悪い」という意味ではなく、たんぱく質は体づくりに欠かせない栄養素で、影響の出方には個人差があります。特定の食品後に臭いが強くなると感じる場合は、量やタイミングを振り返る材料にするとよいでしょう。
便秘によってガス症状が起きやすくなる
便秘になると、腸の動きの低下などによってガスが排出されにくくなり、お腹の張りなどのガス症状が起こることがあります。慢性便秘症では、腸内フローラの変化や短鎖脂肪酸・二次胆汁酸などの代謝物の減少も関与すると報告されています。ただし、おならの臭いだけで便秘の重症度を判断することはできません。便秘そのものの原因や対策は専門記事もご参照ください。
乳糖などを消化・吸収しにくい場合
乳糖(ラクトース)や果糖、糖アルコール(ソルビトールやキシリトールなど)は消化・吸収されにくい人がいる糖質として知られています。乳糖不耐症の場合、ラクターゼによる分解が不十分になり、未消化の乳糖が大腸で発酵されガスが発生し、腹部膨満・腹痛・下痢などにつながることがわかっています。また、FODMAP(発酵性の糖質群)の研究でも同様の仕組みが示されています。症状を繰り返す場合でも、小腸内細菌増殖症(SIBO)や過敏性腸症候群(IBS)と自己判断で決めつけず、医療機関に相談しましょう。
腸内細菌の代謝と個人差
同じ食品を食べても臭いの強さやガスの量が人によって異なるのは、腸内細菌の種類や割合、代謝の違いによると考えられています。食物繊維を発酵する際に生じるガスの量も、食物繊維の種類や摂取量によって変わります。
一方、臭いの強さだけで、特定の菌が多いか少ないかや、「善玉菌・悪玉菌」のバランスを判断することはできません。腸内細菌の代謝には複数の菌種や食事内容、便通の状態などが関わるため、臭いだけで腸内環境を評価することはできません。
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03臭くないのに回数や量が多い場合に考えられること


ここまでは「臭い」に注目してきましたが、臭いはさほど強くないのに回数や量が気になる場合は、臭いとは別の要因が関わっていることが多いです。
早食い・炭酸飲料などで空気を飲み込んでいる
ガムを噛む、炭酸飲料を飲む、ストローで飲む、食事中に会話する、早食いといった習慣は、飲み込む空気の量を増やし、おならの回数や量が増える要因になります。
飲み込まれた空気は主に窒素や酸素で構成され、回数や量には影響しますが、それ自体が強い臭いの直接的な原因になることは少ないとされています。喫煙や合わない入れ歯の使用も、飲み込む空気を増やす要因として指摘されています。
発酵しやすい食品や食物繊維を急に増やした
腸活を始めて食物繊維やオリゴ糖を積極的に摂ると、ガスが増えたと感じることがあります。これは、大腸の腸内細菌がこれらを発酵してガスを産生するためで、発酵されやすい食物繊維ほどガスが発生しやすいことが報告されています。豆類や全粒穀物、糖アルコールを含む食品・飲料は、ガスが増えやすい食品の例です。
ただし、ガスが増える食品が体に悪いわけではありません。食物繊維やオリゴ糖は腸内細菌のエサとなり、短鎖脂肪酸の産生など腸に有益な働きがあります。急に摂取量を増やすと一時的にガスが増えやすいため、少量から徐々に増やすのがおすすめです。
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04臭いおならが気になるときの対策


おならの臭いや回数が気になったとき、特定の食品を一気に断つ、サプリメントを急に追加するといった対応はお勧めしません。自分の状態を丁寧に観察し、要因を一つずつ切り分けていくことが優先されます。
1〜2週間、食事・便・症状を記録する
食べたもの・飲んだものとガス症状を記録する日記がおすすめです。具体的には、食べたもの・食べた時刻、臭いの強さ(例えば0〜3段階など)、おならの回数の変化、便の形状、腹痛やお腹の張りの有無、下痢の有無、服用している新しい薬やサプリメントの有無などを記録すると、後から振り返りやすくなります。まず1〜2週間を目安に記録し、食事や生活習慣を見直す土台として活用しましょう。

早食いと空気を飲み込む習慣を見直す
回数や量が気になる場合は、まず空気の飲み込みを減らす工夫から始めるのが取り組みやすい方法です。座ってゆっくり食べる、よく噛む、炭酸飲料・ストロー・ガムの使用を減らす、一度に大量に食べないといった対応を心がけましょう。
食品は一度に全部やめず、一つずつ調整する
原因になりそうな食品が複数あっても、一度にすべて除去するのは避けましょう。原因が特定しにくくなるだけでなく、栄養バランスが偏るおそれがあるためです。食事日記と症状を記録しながら、乳製品や糖アルコールを含む食品、豆類などを一種類ずつ調整していく方法が現実的です。
低FODMAP食は過敏性腸症候群(IBS)への有効性が報告されていますが、本来は専門家の指導のもと一定期間実施し、段階的に食品を再導入する方法です。自己判断で長期間続けると栄養不足につながる可能性があるため、推奨されません。
便秘がある場合は便通対策を優先する
臭いに加えて便秘の自覚がある場合は、便通対策を優先することが効果的です。十分な水分摂取、規則的な食事、無理のない運動、食物繊維を少しずつ増やすことが基本になります。便秘の原因やタイプ、対策は専門記事もご参照ください。
また、「プロバイオティクスを摂れば必ず改善する」というわけではありません。プロバイオティクスは治療の選択肢の一つとされていますが、効果には個人差があります。
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05臭いおならで病院を受診した方がよい目安


セルフケアで様子を見てよい場合と、受診したほうがよい場合の見極めも大切です。
おならの臭いに加えて腹痛や便通の変化がある場合、日本消化器病学会のIBSガイドでは、次のような「警告症状・徴候」や「危険因子」を確認し、該当する場合は大腸内視鏡検査などの大腸検査を行うとしています。
- 血便check 01

- 発熱check 02

- 予期しない体重減少check 03

- 異常な身体所見check 04

- 50歳以上check 05

- 過去に大腸の病気にかかったことがあるcheck 06

- 家族に大腸の病気になった人がいるcheck 07



これに加えて、日常生活に支障をきたす症状、強い腹痛、繰り返すお腹の張り、便通の持続的な変化、体重減少、血便、発熱、嘔吐などがある場合は早めに受診しましょう。強い痛みや嘔吐を伴い便もガスも出ない場合は、腸の通過障害の可能性もあるため速やかな受診が必要です。
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06自分の腸内フローラを知り、腸活のヒントにする方法


食事や便通を見直しても症状の変化がはっきりしない場合の次の選択肢として、便中の腸内細菌の種類や比率を可視化する検査があります。臭いという感覚的な情報だけから推測するのではなく、実際のデータをもとに食事や便通の見直しにつなげる考え方です。
chatFLORA Gでは、腸内細菌の種類・比率と、それに応じたおすすめ食材・栄養素・行動習慣を確認できます。臭いに加えて便秘・下痢も気になる場合は、「便秘・下痢」カテゴリの便形状タイプ別レポートや関連菌の傾向も参考に、普段の食事と便通をあわせて振り返る材料としてご活用いただけます。
なお、chatFLORA Gはおならの原因や病気そのものを診断するものではありません。参考情報としてご利用のうえ、血便・体重減少・強い腹痛などの症状がある場合は検査結果を待たずに医療機関を受診してください。
FAQ
よくある質問
おならが臭いのは悪玉菌が多いからですか?
おならが臭いからといって、悪玉菌が多いとは判断できません。
臭いは、食事内容、便秘の有無、腸内細菌の代謝など複数の要因で決まります。現在では「悪玉菌が多い=臭いおなら」という単純な関係ではなく、腸内細菌全体のバランスが重要と考えられています。
臭いおならを改善する食品やサプリメントはありますか?
食品やサプリメントで改善する場合もありますが、効果には個人差があります。
腸内細菌や食生活は人それぞれ異なるため、まずは食事や便の状態を記録し、原因となる食品を一つずつ見直すことが大切です。
おならの臭いだけで大腸がんは分かりますか?
おならの臭いだけで大腸がんかどうかは判断できません。
血便、急な便通の変化、原因不明の体重減少などの症状がある場合は、大腸がんなどの可能性もあるため、早めに医療機関を受診しましょう。
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07まとめ|臭いと回数を分け、食事・便通・随伴症状を確認しよう


おならの臭いだけで、腸内細菌の構成や腸内環境全体の良し悪しを判断することはできません。臭いには食事内容、便通の状態、腸内細菌による代謝が複雑に関わっており、単純に「悪玉菌が増えた」と結論づけることは避けるべきです。まずは「臭い」「回数・量」「お腹の張り」を分けて捉え、気になる食品や習慣を一つずつ見直しましょう。血便や体重減少、強い腹痛など赤旗症状がある場合は迷わず医療機関を受診してください。
腸内フローラ検査「chatFLORA G」で自分の腸内細菌の傾向を確認し、そのデータを食事や生活習慣の見直しに役立てましょう。





















