












プロバイオティクスとは、適切な量を摂ることで、健康に役立つことが確認されている「生きた微生物」のことです。乳酸菌やビフィズス菌など、菌そのものの名前ではなく、健康への働きが確認された生きた菌を表す言葉です。
コンビニやスーパーで「乳酸菌」「ビフィズス菌」「◯◯株」という表示を見て迷った経験はないでしょうか。この記事では乳酸菌との関係、プレバイオティクス・シンバイオティクスとの違い、選ぶときに確認したい5項目を順に整理します。この記事を読むと、商品を選ぶときにラベルのどこを見ればよいかが分かります。
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01プロバイオティクスとは?


プロバイオティクスと呼べるのは、ただ生きた菌を含むだけでなく、どの菌をどのくらい摂ると健康に役立つかが、人を対象にした研究で確認されているものです。代表的なものには乳酸菌やビフィズス菌があり、酵母の仲間も含まれます。
乳酸菌・ビフィズス菌とプロバイオティクスの関係
混同されやすいのですが、「乳酸菌」「ビフィズス菌」は微生物のグループを指す言葉で、「プロバイオティクス」はその使い方を示す概念です。「乳酸菌」「ビフィズス菌」は、菌を大きく分けたときの呼び名です。一方、プロバイオティクスは、健康に役立つことが確認された生きた菌を表します。プロバイオティクスには、乳酸菌やビフィズス菌のほか、酵母の仲間もあります。そのため、プロバイオティクスがすべて乳酸菌というわけではありません。
生きた菌が入っていれば、すべて同じ?
「生きた菌が入っている食品」と「プロバイオティクス」も同じ意味ではありません。ISAPP(国際プロバイオティクス・プレバイオティクス学会)は、「すべての発酵食品がプロバイオティクスの定義を満たす生きた微生物を含むわけではない」と明記しています。
加熱などにより、食べる時点で生きた菌が残っていない味噌・醤油などの商品や、菌株・菌数が示されていないぬか漬けなどは、発酵食品としての価値はあってもプロバイオティクスとは区別されます。分かれ目は「健康に役立つことが確認された生きた菌が、適切な量だけ含まれているか」です。商品を選ぶときは、菌株名と、どのような働きが表示されているかを確認しましょう。
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02プレバイオティクス・シンバイオティクスとの違い


似た響きの3語は、指しているものが根本的に異なります。まず全体像を表で確認します。
名称 | 何を取り入れるものか | 例 |
|---|---|---|
プロバイオティクス | 健康に役立つことが確認された生きた菌 | 菌株と働きが表示されたヨーグルトや乳酸菌サプリメント |
プレバイオティクス | 腸内細菌に利用され、健康に役立つ成分。いわゆる「菌のエサ」 | フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、イヌリンなど |
シンバイオティクス | 生きた菌と、腸内細菌に利用される成分を組み合わせたもの | 菌とオリゴ糖などを組み合わせた食品や製品 |

プロバイオティクスは生きた菌を摂る考え方
外から生きた菌そのものを取り入れる発想です。菌株が特定され、その菌を一定量摂取することで有用な健康作用を発揮することがヒト試験で認められています。「外から菌を足す」考え方になります。
プレバイオティクスは菌に利用される成分
プレバイオティクスは菌ではなく、腸内の特定の微生物に利用され、健康上の利益につながる食品成分です。厚生労働省では、食物繊維は消化・吸収されずに大腸まで達し、腸内細菌に利用されると説明されています。代表例には、フラクトオリゴ糖、イヌリン、ガラクトオリゴ糖などがあります。ただし、食物繊維やオリゴ糖ならどれも同じ働きをするわけではなく、発酵によって生じる変化の程度は、摂る前の腸内フローラや食事内容によって異なります。
シンバイオティクスは組み合わせの考え方
シンバイオティクスは、プロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせたものです。生きた菌と、腸内細菌に利用される成分を一緒に取り入れる考え方ですが、どの組み合わせでも同じ働きが得られるわけではありません。
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03プロバイオティクスにはどんな働きがある?研究の見方


ここでは便通を例に、プロバイオティクスを使用した研究結果をご紹介します。
便通研究の具体例から、菌株・量・期間を読み取る
同じビフィズス菌(Bifidobacterium animalis)の亜種を使った2つの試験を並べてみます。
株 | 研究内容 | 主な結果 |
|---|---|---|
BB-12 | 排便回数が少ない成人1,248人が、2種類の量または菌を含まない食品を4週間摂取 | 排便回数が増えたという分析もありましたが、研究で中心となる判定では明確な差はありませんでした。菌の量を10倍にしても、結果に明確な違いはありませんでした。 |
HN019 | 便秘の成人229人が、菌を含む食品または含まない食品を1日1回、8週間摂取 | 主に調べた排便回数では、2つのグループに明確な差はありませんでした。一部のおなかの症状では違いがみられました。 |
どちらも同じ種類のビフィズス菌を使った研究ですが、対象者や菌の量、試した期間、調べた内容が異なるため、結果をそのまま比べることはできません。BB-12の研究では、菌の量を10倍にしても排便回数の変化に明確な差はなく、量が多ければよいとは限らないことが分かりました。
商品を選ぶときは、菌の量だけでなく、菌株名と、便通など自分が期待する働きが表示されているかを確認しましょう。
菌株とは?同じ種類の菌でも働きが異なる
商品に表示されている「BB-12」「HN019」などの記号や番号が菌株名です。同じ種類の乳酸菌やビフィズス菌でも、菌株が違えば、確認されている働きが異なることがあります。
アレルギー疾患の家族歴がある乳幼児を対象に、妊娠後期の母親と生まれた子どもへ菌株を与えた研究では、HN001を摂ったグループは、菌を摂らなかったグループより、2歳までに湿疹が現れる割合が低くなりました。一方、HN019では違いが確認されませんでした。
このように、プロバイオティクスは菌株によって確認されている働きが異なります。商品を選ぶときは、菌株名と、自分が期待する働きが表示されているかを確認しましょう。
食品を取り入れることと病気の治療を区別する
プロバイオティクスを含む食品やサプリメントは、毎日の食生活に取り入れるものです。便秘や下痢などの症状が続く場合は、食品だけで対処しようとせず、医療機関に相談しましょう。
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04食品・サプリメントは何を見て選ぶ?


選ぶときに見る場所は、ほぼ食品ラベルに集約されます。
表示例で確認する菌株・菌数・摂取目安
以下は特定の商品ではなく、一般化した表示例をもとにした確認項目です。
確認項目 | ラベルで見るところ | 選ぶときのポイント |
|---|---|---|
①菌株名 | 「BB-12」「HN019」などの記号や番号まで書かれているか | 「乳酸菌配合」だけでなく、菌株まで示されている商品かを見る |
②1日分の菌の量 | 1本・1粒など、1日分に含まれる菌の量 | 数字の大きさだけで比べない |
③摂取目安 | 「1日1本」「1日2粒」などの量と回数 | 自分の生活で無理なく続けられるかを見る |
④期限・保存方法 | 菌の量がいつの時点の数字か、要冷蔵かどうか | 買い置きや持ち運びができるかを見る |
⑤期待される働き | 「おなかの調子を整える」などの表示 | 自分の目的と合っているかを見る |
商品に含まれる菌の量には大きな幅があります。ただし、菌の量が多いほど、菌の種類が多いほどよいとは限りません。数字の大きさだけで比べず、菌株名、期待される働き、1日の摂取目安をまとめて確認しましょう。
ヨーグルトや発酵食品との違いも知って選ぶ
ヨーグルトのように菌株名まで表示された食品は、どのような働きを目的にした商品か確認しやすくなります。一方、味噌や漬物のように菌株が特定されていない発酵食品は、食事の幅を広げる食品として取り入れるのが自然です。どの発酵食品にどんな菌が関わるかは「発酵食品一覧|納豆・ヨーグルト・味噌などの種類と毎日の取り入れ方」の記事をご覧ください。
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05取り入れるときの注意点と続け方


食品とサプリ、それぞれの取り入れ方
食品から取り入れる場合は、普段の食事に無理なく加えるのが続けやすい方法です。朝食のヨーグルトに果物やオートミールを添えると、菌と食物繊維を一緒に摂れます。サプリメントは、パッケージに表示された量と回数を守りましょう。
オリゴ糖は、種類や商品によって1日の目安量が異なります。パッケージに書かれた量を守り、おなかがゆるくなったり張ったりした場合は、量を減らすか摂取を中止しましょう。
摂取した菌が腸内に残る期間は、菌株や人によって異なります。長く住み着かなくても健康に役立つ場合があるため、「定着するか」だけで商品を判断する必要はありません。続ける場合は表示された量と回数を守り、便通やおなかの張りなどを記録しましょう。
持病や治療中、不調が続く場合は相談する
健康な人が一般的な食品として取り入れる場合、大きな問題は起こりにくいとされています。一方、重い病気がある方や免疫機能が低下している方では、感染症などのリスクがあります。
2023年、米国食品医薬品局(FDA)は、入院中の早産児にプロバイオティクスを与えることで、製品に含まれる菌などによる重い感染症が起こるおそれを警告しました。重い病気がある方、免疫機能が低下している方、短腸症の方、乳幼児にプロバイオティクス製品を与える場合は、事前に医師へ相談しましょう。
腹痛や下痢・便秘が続く、意図せず体重が減る、便に血が混じるといった場合は、食品で様子を見続けず、医療機関に相談してください。
FAQ
よくある質問
食品に含まれる菌と、自分の腸内細菌はどう違う?
食品表示から分かるのは「これから摂る菌」の種類や量です。一方、腸内フローラ検査では、「採便した時点で自分の腸内にいる菌」の種類や割合が分かります。両方を分けて見ることで、商品に含まれる菌と、現在の腸内細菌の傾向を確認しながら、食生活を見直す材料にできます。
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06食品選びを、自分の腸内環境を知るきっかけに


記録から続け方を考える
何週間で効くと一律に言えるものではないため、確認したいことを先に決めて記録します。
確認したいこと | 記録項目 | 次の対応 |
|---|---|---|
続けられているか | 摂った日・摂れなかった日、タイミング | 抜けが多いなら量や回数を無理のない形に変える |
おなかの様子が変わったか | 排便の回数、便の形、張りや痛み | 変化がないまま数週間続くなら菌株や食品を替えて再検討する |
食事全体が変わったか | 食物繊維の多い食品、発酵食品、水分の量 | 菌だけに頼らず、食事全体の組み立てを見直す |
不調が強まった場合は、記録の継続よりも受診を優先してください。
自分の腸内細菌と、食生活に合う提案を確認する
菌を選ぶ視点に慣れると、次に気になるのは「自分の腸にはいまどんな菌がいるのか」という点だと思います。
腸内フローラ検査のchatFLORA Gは、自宅で採便して郵送するだけで、腸内細菌を種レベル(細かい種類)まで解析し、菌の種類や割合をWebで確認できます。さらに、項目ごとのスコアを日本人平均と比べられます。
検査結果と簡易食事アンケートを組み合わせた「腸活のススメ」では、食生活を見直すための食材や栄養素の提案を確認できます。自分の腸内細菌の傾向を知り、その結果を毎日の食事に活かせるのがchatFLORA Gの特徴です。
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07まとめ


プロバイオティクスは、適切な量で摂ると健康に役立つ生きた微生物を指す考え方です。乳酸菌やビフィズス菌は菌のグループを示す名前、プレバイオティクスは菌に利用される成分、シンバイオティクスは両者を組み合わせる考え方で、それぞれ役割が異なります。
選ぶときは、菌株名、1日分の菌の量、摂取目安、期限・保存条件、期待される働きの5項目を確認します。菌の量の多さだけで決めず、自分の目的に合う働きが表示されているかを見ましょう。取り入れた後は、続けられているか、便通やおなかの張りに変化があったかを記録し、食べ方を振り返ります。
食品の菌だけでなく、自分の腸内細菌も知りたい方は、種レベルの解析と食事提案が受けられる腸内フローラ検査を検討してみてください。
参考文献
JAMA Netw Open. 2024,7:e2436888
World Gastroenterology Organisation Global Guidelines: Probiotics and prebiotics
ISAPP「Are all probiotics the same?」
NIH National Center for Complementary and Integrative Health「Probiotics: Usefulness and Safety」
Nat Rev Gastroenterol Hepatol. 2021,18:196-208
Nat Rev Gastroenterol Hepatol. 2017,14:491-502
Nat Rev Gastroenterol Hepatol. 2020,17:687-701
J Allergy Clin Immunol. 2008,122:788-794
U.S. Food and Drug Administration「Risk of Invasive Disease in Preterm Infants Given Probiotics」





















