












「冷やご飯にすると、腸に良い」「冷やすと太りにくくなる」といった話を耳にしたことはありませんか?
その理由として注目されているのが、レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)です。レジスタントスターチは、小腸で消化されにくく大腸まで届き、腸内細菌に利用されるでんぷんの一種です。
一方で、「冷やせば痩せる」と単純に考えるのは適切ではありません。冷やご飯に関する研究で確認されているのは、主に食後の血糖値の変化であり、体重や体脂肪の減少そのものではないためです。
この記事では、レジスタントスターチの種類や腸内での働き、豆類・穀類・バナナなど多く含む食品を整理しながら、冷やご飯や再加熱によって何が変わるのか、家庭で取り入れるときのポイントまでわかりやすく解説します。
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01レジスタントスターチとは?小腸で消化されにくいでんぷん


レジスタントスターチは、でんぷんでありながら小腸の消化酵素の働きを受けにくく、大腸に届く性質をもつものを指します。一般的な食物繊維の多くはでんぷん以外の成分ですが、レジスタントスターチは「でんぷん」の一種である点が特徴です。
通常のでんぷんと何が違う?
ご飯やパン、いもに含まれるでんぷんは、通常は小腸でアミラーゼなどの酵素によってブドウ糖まで分解され、吸収されてエネルギーになります。一方で、レジスタントスターチは消化酵素による分解を受けにくいでんぷんです。
ここで押さえておきたいのは、レジスタントスターチを含む食品を食べても、炭水化物の全体が消化されなくなるわけではないことです。あくまで、でんぷんの一部が消化を受けにくく大腸まで届く、という話です。
食物繊維との関係
大腸に届いたレジスタントスターチは、腸内細菌に利用されるという点で食物繊維に似た役割を持ちます。含まれる量は、品種・熟度・調理条件によって変わります。種類ごとに「なぜ消化されにくいのか」が違うため、表で整理します。
レジスタントスターチの種類と食品例
種類 | 消化されにくい理由 | 食品・素材の例 |
|---|---|---|
RS1 | でんぷんが穀物や豆の細胞壁などに包まれているため、消化酵素がでんぷんに触れにくい | 粗く粉砕された穀粒、全粒穀物、精製度の低い穀物、豆類、パスタ |
RS2 | でんぷんが硬い構造のまま残っているため、消化酵素が分解しにくい | 未熟なバナナ、生のじゃがいも、高アミロースのトウモロコシでんぷんや米でんぷん |
RS3 | 加熱で変化したでんぷんが、冷却すると再び結晶化して消化されにくくなる(老化) | 冷やしたご飯、老化でんぷん、難消化性再結晶アミロース |
RS4 | 加工によって、消化酵素では分解されにくい構造にしたでんぷん | リン酸架橋でんぷんなどの加工でんぷん |
このほか、でんぷんのらせん構造に脂質が入り込み、消化されにくくなったでんぷん(RS5)を含める分類もあります。なお、加工でんぷん全般がRS4にあたるわけではなく、難消化性を示す処理を受けたものが該当します。冷やご飯の話題はこの表のRS3にあたります。
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02腸内ではどのように働く?


大腸まで届いたレジスタントスターチは、腸内細菌によって発酵されます。まずは、腸内でどのように利用されるのかを見ていきましょう。

大腸の腸内細菌に利用される
オーストラリアの公的研究機関CSIROの解説では、「レジスタントスターチは小腸での消化に抵抗して大腸へ移動し、大腸に住む有用な細菌の食物として利用される」と説明されています。ただし、どの菌がどの程度利用するかは、もともとの腸内細菌の構成や食事全体によって異なります。
短鎖脂肪酸・酪酸との関係
腸内細菌がレジスタントスターチを発酵すると、短鎖脂肪酸が作られます。その一つである酪酸は、大腸の細胞のエネルギー源となり、腸の内側を健康に保つ働きに関わっています。短鎖脂肪酸の種類や作用を詳しく知りたい方は、「短鎖脂肪酸とは」をご覧ください。
ヒト研究で分かることと、まだ言えないこと
よく紹介される「冷やご飯」の研究は、体重や体脂肪ではなく、食後の血糖値の変化を調べたものです。白米を4℃で24時間冷蔵してから再加熱したご飯と、炊きたてのご飯を比較しています。そのため、この結果だけで「冷やご飯を食べれば痩せる」と考えることはできません。
また、精製したレジスタントスターチを一定量摂取する研究では、製品の種類、摂取量、対象者、期間などを確認する必要があります。研究で効果がみられた量を、普段の食品から同じように摂れば同じ効果が得られるとは限りません。
なお、オーストラリアの公的研究機関CSIROは1日約20gを目安として示していますが、これは日本の公的な摂取基準ではありません。
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03レジスタントスターチを含む食品と取り入れ方


豆類・穀類・バナナなどから取り入れる
レジスタントスターチは、豆類、穀類、バナナ、じゃがいも、パスタなどに含まれています。たとえば、レンズ豆やえんどう豆、全粒穀物、硬めのバナナ、調理して冷ましたじゃがいもやパスタなどです。また、レジスタントスターチにはいくつか種類があり、未熟なバナナや生のじゃがいもに多いタイプ(RS2)、冷やすことで増えるタイプ(RS3)など、それぞれ消化されにくくなる理由が異なります。
ただし、含まれる量は、食品の種類や品種、熟し具合、加工や調理方法によって変わります。そのため、特定の食品だけにこだわらず、豆類や穀類、いも類などを組み合わせて、普段の食事に無理なく取り入れましょう。
ご飯・いも・パスタは調理によって変化する
加熱でやわらかくなったでんぷんは、冷やして時間を置くと、分子が再び結びついて固まり、消化されにくいRS3が作られます。おにぎりや冷ましたポテトサラダ、冷やしたパスタでレジスタントスターチが増えるとされるのは、この仕組みによるものです。
ただし、レジスタントスターチは、すべて冷やすことで増えるわけではありません。RS1は穀粒などの構造、RS2はでんぷんそのものの構造によって消化されにくくなります。また、レジスタントスターチをとるために、生のじゃがいもやでんぷん粉を大量に食べる必要はありません。豆類や、加熱後に冷ましたご飯・いも・パスタなど、普段の食事から取り入れましょう。
食品 | 取り入れ方 | 確認点 |
|---|---|---|
豆類(レンズ豆、えんどう豆、いんげん豆など) | 煮豆やサラダの小鉢を1品加える | 水煮や缶詰も使える。急に量を増やさない |
穀類(大麦、押麦、全粒粉のパンやパスタ) | 主食の一部を置き換える | 精製度が低いものほど粒の構造が残る |
バナナ | 硬めのものを選ぶ | 熟すほどでんぷんが糖に変わり性質が変わる |
ご飯 | 冷蔵したご飯をそのまま食べる、または温め直す | 保存は小分けにして速やかに冷蔵・冷凍する |
じゃがいも・さつまいも | 調理後に冷ましてサラダや和え物にする | 生のままの摂取は避ける |
パスタ | ゆでて冷ましたサラダにする | 味付けの塩分と油の量も確認する |
食物繊維全体の取り入れ方や便通対策は、「【便秘解消法】便秘解消に効果的なおすすめの食べ物・飲み物と、排便を促す水分摂取・生活習慣のポイント」で紹介しています。
菌に利用される成分と、生きた菌そのものを摂る考え方の違いは、「プロバイオティクスとは?乳酸菌・プレバイオティクスとの違いと食品の選び方」をご覧ください。
毎日の食事に取り入れやすい発酵食品は、「発酵食品一覧|納豆・ヨーグルト・味噌などの種類と毎日の取り入れ方」で紹介しています。
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04冷やご飯で増える?再加熱するとどうなる?


冷やご飯で増えるとされるのは、種類の表で示したRS3です。では、冷蔵したご飯を温め直すとどうなるのか、実際に調べた研究の条件を見てみます。
冷蔵後に温め直したご飯を調べた研究
インドネシアで行われた研究では、IR-64という品種の白米を炊き、「炊きたて」「室温で10時間置いたもの」「冷蔵してから温め直したもの」の3条件で、レジスタントスターチの量を比較しました。その結果、炊きたてのご飯では100gあたり0.64gだったレジスタントスターチが、4℃で24時間冷やしてから約15分再加熱したご飯では1.65gに増えていました。
さらに、健康な成人を対象に、炊きたてのご飯と、冷蔵後に温め直したご飯を食べたときの血糖値の変化を比較しました。食後2時間までの血糖値の上がり方を比べると、冷蔵後に温め直したご飯のほうが、炊きたてより小さい結果でした。
この研究では、4℃で24時間冷蔵して温め直したご飯で、レジスタントスターチが増え、食後の血糖値の上がり方も小さくなりました。ただし、米の品種や炊き方、冷やす時間、温め直し方が異なる場合に、同じ結果になるとは限りません。
冷やすときも保存の安全性を優先する
レジスタントスターチを増やすことより、まずは食品衛生を優先してください。農林水産省は、セレウス菌による食中毒の予防として、一度に大量の米飯やめん類を調理して作りおきしないこと、保存するときは小分けにすること、小分けにしたものを速やかに冷蔵庫や冷凍庫に入れることを挙げています。
日本で多いおう吐型は食後1〜5時間で吐き気やおう吐、腹痛が起こり、チャーハンやピラフ、焼きそば、スパゲッティが原因になりやすいとされています。研究に出てくる室温での長時間保存は、あくまで実験条件です。家庭での手順として真似せず、炊いたご飯は小分けにして速やかに冷蔵・冷凍しましょう。
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05無理なく続ける注意点とよくある疑問


急に増やさず、お腹の張りや便の状態を見る
大腸で発酵を受ける成分のため、急に量を増やすとお腹の張りやガス、便のゆるさを感じることがあります。豆類などは小鉢1品程度から始め、お腹の様子を見ながら少しずつ増やすと続けやすいです。特定の食品に偏らず、食べた内容とお腹の状態を記録して振り返りましょう。
腹痛や下痢・便秘が続く場合、便に血が混じる場合、意図せず体重が減っている場合は、食事の自己調整だけで済ませず医療機関に相談してください。
FAQ
よくある質問
冷やご飯だけで痩せる?
冷やご飯にするだけで痩せるとはいえません。前述の研究で比べたのは食後の血糖値の上がり方で、体重の変化ではありません。ご飯そのもののエネルギーがなくなるわけでもないため、1食あたりの量やおかずを含め、食事全体のバランスを振り返りましょう。
サプリメントは必要?
まずは豆類、穀類、冷ましたいも類やご飯といった食品から取り入れる方法を試すのが基本で、サプリメントの摂取が全員に必要というわけではありません。精製された成分が食品から摂った場合と同じ結果になるとは限らないため、表示されている量と原材料、そして自分の体調を確認しながら使ってください。
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06食事・便通の記録と腸内環境を見直す


食べたものと便の状態を記録する
取り入れ方を試したあとは、食事とお腹の状態を一緒に振り返ります。記録したいのは、食べた食品の種類と量、便の形と回数、お腹の張りやガスの程度です。日によって変わるものなので、1つの食品だけで良し悪しを決めず、1〜2週間の傾向として眺めるとよいでしょう。
現在の腸内フローラを知り、食生活に活かす
食品を選ぶ視点に慣れてくると、「いま自分の腸内にはどんな菌がいるのか」も気になるところです。腸内フローラ検査では、現在の腸内細菌の種類や割合を確認し、毎日の食生活を見直す参考にできます。
chatFLORA Gは、自宅で採便して郵送する腸内フローラ検査です。腸内細菌を「種」という細かい単位まで解析し、菌の種類や割合、便秘・下痢や栄養素など8つのカテゴリー別レポートをWebで確認できます。さらに、検査結果と簡易食事アンケートを組み合わせ、食生活を見直すための食材や栄養素の提案も確認できます。食事や便通の記録とあわせて、これからの腸活に活用しましょう。
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07まとめ


レジスタントスターチは、小腸で消化されにくく大腸まで届き、腸内細菌に利用されるでんぷんの一種です。豆類や全粒穀物、硬めのバナナ、いも類、パスタなどに含まれ、調理方法によって含まれる量も変わります。
ご飯やいも、パスタは、加熱後に冷やすことで消化されにくいRS3が形成されることがあります。冷蔵してから再加熱したご飯で、レジスタントスターチが増え、食後の血糖値の上昇が小さくなった研究もありますが、「冷やご飯を食べれば痩せる」とまでは言えません。
特定の食品にこだわりすぎず、豆類や穀類、いも類などを普段の食事に無理なく取り入れましょう。急に量を増やすとお腹の張りやガスが出ることもあるため、体調を見ながら少しずつ取り入れることが大切です。





















